海外での医療を受ける前に知ってほしいこと

近年、企業のグローバル化が進んでおり海外赴任する駐在員やその家族が多くなってきています。

慣れない環境や文化の違いなど、日本との違いによって様々な悩みや不満が出てくるでしょう。

その中でも、医療に関してはやはり重要になってきます。

医療制度や医療システムの違いなどから、トラブルにあったり仕方なく帰任しないといけない方もいらっしゃいます。

海外では医療を受けないよう予防するのが一番ですが、受けないと行け無くなってしまった際に必要なことをお伝えして行きます。

海外生活での満足度において医療は低い

JILPT調査シリーズNo.9 2005年

上記の表において、現地での生活全般に関する満足度は、満足とする派遣者のほうが不満とする派遣者よりも総じて多い事が分かります。

中でも、通勤事情と住宅について満足度が高くなっています。

しかし、特に医療機関の利用に海外派遣者が何らかの難しさを感じていることが伺われます。

海外での生活をする上で、医療は重要なキーワードとなります。

なぜ海外の医療で不満が出るのか

海外赴任をしている日本人に対して、上記のような海外医療に関する不満を調査した文部科学省による研究データが出ています。

その結果、一番多いのは先進国、途上国を問わず「医療システムについて」でした。

次は「言葉の問題」です。これは近年では通訳などの充実により満足度は増えていますが、医療通訳として医療について知っている通訳がまだ少なく、医師と通訳、患者の3者間で十分な医療に関してのコミュニケーションが取れていないのが現実です。

3番目は「医療レベルについて」で、やはり途上国において満足度が低い現状です。私が居るタイにおいても、CTやMRIなどの医療機器のレベルは日本メーカーの最新機器があっても、それを医療従事者が使いこなせていないという問題があったりします

また「薬」の問題もあります。薬が過剰に出ていたり、日本人の体格にあっていなかったりなど様々な問題が生じています。

日本と海外の医療システムの違い

実は、日本の医療システムは世界でも特異的とも言え、優れたシステムと日本人特有の人間性によって成り立っています。

その為、海外の医療システムに中々馴染めません。

まず必要なことは、日本と海外のシステムは違うということを知って自覚しないと行けません

医療はその国の文化を反映するので、その国々で医療システムが違います

ここで大事なのは、日本と海外では医療に関する基本的な概念が違うということを理解してください。

日本では基本的に「仁術」という考えのもと医療システムが構築されています。仁術とは江戸時代の学者、貝原益軒は「養生訓」で医とは何かを表現しています。

そこには「医は仁術なり。仁愛の心を本とし、人を救ふを以て志とすべし」

つまり、医術とは、単に人の体の治療をするだけではない。そこに人徳を施す術である、という意味で用いています。

このように、日本の医療システムのベースには「人への想い」という考えがあります。

一方、海外では基本的に欧米諸国の医療の概念がベースとなっています。

そのベースには医療を「算術」として考えています。

算術は数の概念や数の演算を扱い、その性質や計算規則、あるいは計算法などの論理的手続きを明らかにしようとする学問分野です。
医療に置き換えると、ビジネス的思考や検査結果の数値などが当てはまります。

このようにどちらが良い悪いでは無く、考えるベースが違うということを理解する様にしてください。

海外の医師のシステム

海外の医師は、一般医と専門医に大きく分けられます。

一般医は全般的な診察をしてくれる医師の事で、内科や簡単な外科の対応などマルチな対応をしてくれます。
専門医は自分の得意とする分野のエキスパートで、特別なトレーニングを行いその分野を中心に診療を行います。

海外で医療を受ける際には、まず一般医の診療を受けるのが正式なルールになります。
そして、一般医に対応できない病気や怪我は専門医に紹介されます。

医療費のシステム

日本には国民皆保険制度という制度があり、医療費はどの施設においても均一です。


この制度は日本特有の制度で、皆が平等に医療を受けれるようにしたいという仁術の考えから出来ました。

海外では、自由診療である為に医療費は施設により異なります。
その為、より良い医療を受ける為には費用が高くなります。


お金がある人は良い医療を受けられますが、お金がない人は十分な医療は受けられません。


これが算術の考え方です

海外では、医師によっても診察科によっても、また外国人の為に割増料金が発生するなどの医療にかかる費用が異なります

病院のシステム

日本の病院で診察してくれる医師は、ほとんどが病院の職員です。
その為、医師は直接患者から料金を徴収せずに病院から給料を貰っています

海外では、病院の医師はほとんどが病院に雇用されている訳ではありません。
病院からテナントとしてスペースを借りて診療を行なっている、「オープンシステム」を取り入れています。

その為に患者は病院の会計では、施設使用料や検査代金を支払う上に医師への診察料を払います。

医師が病院の職員ではない為に、自由に医師を選ぶ事が出来るために、どの医師に診てもらいたいかを自分で決定するのがオープンシステムの原則となります

予約制度

日本では予約制の病院も増えてきていますが、基本的にはいつでも受診出来るところが多いでしょう。

海外ではほとんどの医療施設が初診から予約制です。
事前に電話などで受診したい医師の予約を取るのが一般的になります。

緊急の場合は、病院救急外来や地域の救急センターを受診する必要があります。

言葉の問題による意思疎通の問題

近年、通訳の人数やコミュニケーションツールが増えた事で単純なコミュニケーションは容易に取れるようになってきています。

しかし、医療施設や医療機関では医療に関する専門用語でのコミュニケーションが必要です。
例えば、痛いという事を伝えるにしても痛み方でも刺すような痛みや鈍い鈍痛など。
その事を伝えれるかによって検査が変わってきたりもします。

出来れば簡単な経過表や質問表などを事前に用意しておき、それをもとに医師とのコミュニケーションをとることをお勧めします。

MSDでも質問表や経過表を用意していますので、会員様にはご用意しております。

医療レベルに関しての不安について

海外は日本に比べて医療レベルが低いだろうと思っている方も多いかもしれません。

もちろん、途上国においては医療施設や医療従事者のレベルが低いところもあるでしょう。

しかし、タイなどのように日本人などの外国人が多く滞在する大都市においては、現地の富裕層や外国人向けの医療施設があります。
そこでは、医療費が高いものの一定水準の医療を受けることができます。

タイのサミティベート病院の風景

しかし、医療従事者のレベルが必ず高いという訳では無いのでセカンドオピニオンなども考えておかないといけません。

過去にタイの病院のアテンドツアーなども行いました。

まとめ

以上のように、海外と日本の医療に関してはそもそも文化の違いから来ています。

海外に来ている以上、その国での医療システムでの医療を受けないと行けません

海外での医療受けるには、患者本人が医療に対して自ら積極的に向き合う必要があります

その為に海外に来た時の医療を受ける為に必要なことは

  • 海外と日本の医療制度の違いを理解する
  • その国の医療についてを知る
  • 疾患などの知識などを身に付け、医療を受けなくても良いように予防する

以上のことがとても必要です。

MSDでは海外の医療で困らないようにする為のコンテンツを増やしていき、海外で充実した生活をサポートしていきます。

増田勇樹
MSD LABO Co.,Ltd
代表取締役

【資格】
理学療法士
健康経営アドバイザー
ルーシーダットンインストラクター

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