世界のPT座談会:オンラインセミナーリポート

今回、岩本Drの発案によりオンラインによる世界で働く理学療法士(以下PT)の座談会を開催いたしました。

100人近い方々が参加された第一回のオンラインでの座談会のセミナーレポートです。

さまざまな企業がグローバル化していく中で、日本人PTの働き方などを考えるキッカケになればと思っています。

今後も海外で働く日本人PTの紹介はシリーズ化していきたいと思っていますので、お楽しみにしてください。

発案者:岩本ドクターの紹介

今回、座談会の発案者である岩本Drの紹介文です。座談会では司会を行なってくれました。

岩本 航

江戸川病院      スポーツ医学科部長

株式会社encounter  代表

詳しい経歴はこちら

岩本Drの自己紹介

「大阪出身でスポーツ専門の整形外科医です。株式会社encounter も立ち上げており、スポーツとゆかりのある人とを繋ぐ事も行なっています。
勤務している江戸川病院では、整形外科とPT達とチームを組んでスポーツ選手をサポートしています。
株式会社encounter ではスポーツに関わる 医師やPTや スポーツ に関わる業者などを繋ぐサポートをしているまた、様々なスポーツに関わるセミナーを行なっています。」

演者の紹介

今回、集まった世界で働くPTのスピーカーの皆さんです。
詳しい自己紹介は座談会内容で記載しています。

ドイツの藤原先生のみ、医師からの参加をして頂いています

座談会ができたきっかけ

カナダのPTの菊地がランニングクリニックを日本でする機会を、岩本先生が運営するエンカウンターに相談しました。
そこで岩本先生が世界で働くPTがいる事に興味を持ち、繋がりから堀田PTを紹介してもらい、堀田PTが世界中のPTに声をかけ実現可能となりました。

事前アンケートでの質問例

今回、申込みの際に沢山の質問やお話して欲しい事を頂いていましたが、時間の関係上お答えできませんでした。
この意見に関しては演者で共有し、次回のテーマへの参考にさせて頂きます。
以下に事前アンケートの例を一部、掲載します。

  • なぜ日本じゃなくその国で理学療法士をすることを選んだのか
  • 海外でPTとして働くために取り組んだこと
  • 自分の存在を認知、信頼してもらうために行ったことや大変だったことはありますか?
  • 海外で働くまでの流れについて知りたいです。
  • 海外と日本での必要な知識の違いなどはあるか。働き方はどう違うか。                  など

座談会内容

第1部  自己紹介  

1部では各国でのPTの働き方、その国での自身のPTとしての働き方、資格についてをお話して頂きました。

堀田(シンガポール)

大阪出身で年内にシンガポールにて働く予定です。

シンガポールのPTの活躍場所の特徴は、主に公立病院か、プライベートクリニックの2種類あります。

①公立病院は政府からの援助もあり、大規模で施設が整っている。

②プライベートクリニックは、メディカルセンターという大きなビルの部屋を借りている形がほとんど。

PTは開業権あり、医師の指示なしでも可能で、病院で働く人は医師の指示でリハを行います。

PT養成校が一つしかなく、欧米のセラピストが多いことも特徴です。

私はダイレクトアクセスに興味があり、整形・スポーツ専門のプライベートクリックで就職予定です。

職場には、理学療法部屋が3部屋、トレーニング設備やピラティス器具があります。

雇用のされ方としてはクリニック内の1室を借りて、そこで自分自身で営業集客も行っていく必要があります。

宮本(オーストラリア)

私は生まれが日本で15歳からオーストラリアに留学しました。
そのまま卒業し、大学を経て理学療法士として働いています。

オーストラリアでのPTの活躍の場は

  1. 総合病院(病院数は多くはない)
  2. 個人のクリニック
  3. 介護施設

などがあり、私は個人のクリニックで働いています。

基本的な患者さんの流れは大きな病院から個人のクリニックへ移る事が一般的です。
病院からの紹介のケースもありますが、患者さん自身が自分で探すケースが多いです。

オーストラリアで働くメリットとしてはワークライフバランスが取りやく、休みは事前に申告すれば基本いつでも取れます。

残業があるところはゼロに近く、安定している職種なので仕事がなくなることはありません。

日本の理学療法士の免許を持っていると書き換えの試験を受けれますが、とても厳しいテストで今まで受かった日本人は一人しか聞いたことがありません。

高田(アメリカ)

高田洋平滋賀県生まれ、千葉県育ち
•2005年:シェナンドー大学(バージニア)卒業
•2008年:コロンビア大学院、理学療法学科卒業
•2012年:トロ大学 Orthopedic Clinical Residency 卒業

職歴は病院勤務、PTクリニック勤務をへてFuncPhysio Physical Therapyを設立しています。

アメリカのPTの活躍の場所は多岐にわたっており、病院、老人ホーム、訪問リハビリ、スポーツチーム、学校機関、そしてPT clinicなどが主な働き先になります。
約3割ぐらいのPTがPT clinicで働いています。

Vision 2020という改革を2007年にAPTA (American Physical Therapy Association)が打ち出し、現時点で全ての州でDirect access (直接診療)、そして243校ある全ての養成校でDoctor levelのカリキュラムになっています。

直接診療のあり方は各州で違いはあり、州によってPTがやれることが多少異なります。
例えばDry Needlingは州によってはまたPTが出来ないところもあります。

現在アメリカのAPTAが力を入れているのがResidencyそしてFellowship トレーニングです。

 菊地(カナダ)

カナダでのPTに夢を持ち、 挑戦 しようと思いカナダに来ました。

現在は、PTやDrや医療従事者にランニングの為の怪我の予防を伝える、ランニングクリニックでの仕事とBC州のカナダの総合病院で働いています。

カナダの環境のいいところ 業務開始は7時か8時から始まり、午後3時頃に終わる為、ワークライフバランスがいい事です。
仕事の終わった 後でも日本人も英語を勉強したり、パドルボードなどのアクティビティを楽しんだりする時間もあります。

PTの働き方に関しては、病院やフィジオクリニックが多いのが特徴です。
他、スポーツジム、施設、学校など様々な分野で需要が多く、仕事が無くなることが少なく仕事を選べます。
資格を取った際には様々なオファーがある中で就職先を選べることができます。

PT個人が開業する事が出来る為、PTをフィジオクリニックで雇うケースも多い。

カナダではダイレクトアクセスが可能で基本歩合制です。
評判の良い人はウェイティングが出るところもあります。

患者さんをPTが診断し、治療できるか判断し、治療が必要な場合は病院など医師へ依頼することもあります。

給料形態は公共機関は給料制なので、個人クリニックでは歩合制を多く採用しています。

個人クリニックでは治療スキル、コミュニケーション、医師との連携などが必要で患者さんを多く治療する為に必要な要素があります。

資格について私の場合、大学を卒業してカナダの大学院に行きました。
カナダの2年半の大学院15校の学校、国家試験について1次筆記、2次実技をパスして初めて取得出来ます。

日本から資格を移動する事に関して、国家試験を受けることまでは可能です。
ただし、学校に申請したり、必要な科目を取る必要があることもあります。
学校での勉強した内容や学校についてをカナディアライアンスに提出する必要もあります。

まだカナダで他の日本のPTには探しているが会ってはいません。

藤原(ドイツ)

リハビリ・物理療法科の専門医過程の研修医としてドイツに滞在し、勤務しています。

週末にはFC Basara Mainzサッカーチームに帯同しています。

病院では術後の長期集中ケアを担当。整形外科と循環器のオペ後の患者のケアを行っています。

膝や股関節の疾患の状態評価に加え徒手療法による慢性腰痛の治療を行います

ドイツは医師は徒手療法を取る人多く、私も取得目標に勉強しています。

ドイツでのPT働き方は

  1. 病院に勤務(救急などの歩行訓練等がメインと、3~四週間の長期ケアの病院    )
  2. 個人クリニック勤務  
  3. 開業する

勤務時間は40時間、パートタイムの正社員制あります。夏はバケーション制(4週間)も取り入れられています。

有給休暇が平均4週間から6週間あり時期に関係なく取得することが可能です。ほとんどの人が年に数回分けて有給休暇を2週間単位で取るのがスタンダードで、有給消化率は100パーセントです。

ドイツ語での治療になるため、日本人PTが働く場合には最低条件としては、まずドイツ語の語学試験が必要になります。

テストに合格したのちに日本にあたる厚生労働省に自分の経歴書を提出し、審査が降りるには3ヶ月程度の時間を要します。

運がよければ個人の出身校や経歴によっては書類審査だけで通ることもあれば追加に再履修と病院での実習を合格して資格をとれることもあります。

第二部 給料について

2部ではリアルな海外での給与面でのお話です。大学の初任給、PTの初任給、 稼いでいるPTはどのくらいの金額を稼いでいるのかについて話していただきました。

堀田(シンガポール)

大卒でのサラリーマンの初任給は月26万円ほどです。

シンガポールは男女によって収入差あり、男性は27~28万円、女性は22~23万円です。男性は2年間兵役をこなしてから 社会人になるため収入が多くなります。

私の職場では、歩合制も採用されており、患者さんの数によって給料が変わります。

経験を積むと給料は上がります。大病院の管理職となると、さらに給料が上がるそうです。私の訪問した大病院では、イギリスからきた経験豊かなPTが管理職となっていました。

シンガポールは、東京23区ほどの大きさであるため、アメリカのように、クリニックを何件も出店するというのは滅多にありません。コアコンセプトというクリニックはチェーン展開に成功しており、そこのオーナーは大きく稼いでいると考えられます。

宮本(オーストラリア)

大卒で病院で働くとなると600万~700万くらいで、昇給もほぼ決まっています。

クリニックによってオーナーが違うので様々ですが、新卒の場合はサラリーが決まっています。

患者さんを見る数で前後するが年収は約600万円くらいです。

 介護施設が需要が多く、初任給700万程になります。 

歩合制なので、 個人クリニックでも、 診た患者さん の人数によりボーナスがあるケースが多いです。 

診れる患者さんに上限がある為、収入は1300万くらいで頭打ちになります。

オーストラリアでは開業権があるので、開業するPTが多く、その平均収入は2000万ほどになるそうです。

何店舗かクリニックを経営しているPTの収入は青天井となります。

高田(アメリカ)

大卒の平均給与は550万くらいです。

PTの初任給の平均は少し高く、720~730万になり、10年病院に勤務で1000万円近くになります。

開業権があるため、稼いでる人はクリニックを何店舗か運営しており、経営者になれば億単位で稼いでいる人もいます。

エディケーションコースを運営している人も同等額を稼いでいます。

PTの給料も幅があり、個人のクリニックでも1000万円稼いでいる人が多く見られます。

菊地(カナダ)

カナダもアメリカと同じようなケースが多く見られます。

大卒初任給は500万円くらい。PTの収入は州によって違うが平均500万~ 600万くらいになります。

病院で働くPTは600万で、10年経てば1000万円 程度になります。

プライベートクリニックでは歩合制を取り入れている所が多く、 始めの3~6ヶ月は給料をクリニックで保証してくれます。それ以降は歩合制で年収が700万~1000万円を超える人が居ます。

経営者になれば 億超えのビジネスを作っている人が多く限りはありません。

藤原(ドイツ)

個人経営と雇われで違います。

ドイツには賃金表という契約がありそれに沿って支払われます。

その場合でいくとカトリック系の病院、 他の団体の場合で違い、25万~30万円辺りになります。

勤務年数や資格によって変動します。
PTとしてスタートして、リンパマッサージやトレーニング器具を使った運動の資格などがあり、その資格の有無で給料が変動します。

インターネットで求人を見ると、師長クラスになると雇われでも月給60万くらいの募集があります。しかし、4割程度税金で取られるため、手取りの給料自体はそこまで高くありません。

ドイツで働くメリットとして、追加の資格を取得するのに雇われている場合は、セミナー参加費用を雇用者が補助してくれます。
また労働日5日間、セミナー参加の為の休暇がもらえます。

雇用主からの資格取得費援助に関して上限がありますが、追加で自費で資格を取った場合は税金で控除され、確定申告をすればセミナー費用は還付されます。

ドイツでは自己研鑽にかかる金銭的な負担は比較的少なくなります。

視聴者の声の例

以下に今回のセミナーのアンケートに答えていただいたお声の一部を掲載させていただいています。

⑴良かった点

  • 各国の現場、生の事情が聞くことができて本当に有意義でした。特に、働く場所や働き方、そして診断など医療行為の広さについてはよりイメージしやすかったです。ドイツの医師の方のお声も大変貴重でした。
  • たくさんの国で日本人理学療法士が働いていることを知れたこと。収入が知れたこと。各国ごとに比較することが出来て「自分が働くんだったらどの国がいいかな~」的な目線で見ることができたこと。
  • 実際に海外で活躍されている先生方のお話をお伺いでき、非常に勉強になりました。(給料、社会面、資格のことなど)
  • ゲストスピーカーさんが1人ずつ話してくださる点はマンツーマンで話を聞けているようで、内容も入ってきやすく、大変よかったと感じました。項目別に話してくださり、メモも撮りやすかったです。勤務地の環境や、勤務施設内の写真のまで共有出来た点はイメージも湧き、素晴らしいと感じました。聴き手側を全てミュートにした点は、ノイズも減り大変良かったと思いました。
  • 海外の働き方、免許の取得法が聞けた事

など

⑵改善点

  • 雑音のことをチェットでご指摘させて頂きましたが、私も初めてアプリを使ったため、ミュートの方法が正直分からず、自分がミュート出来ているのか不安でした。途中から行って頂いたように、運営側でミュートして頂けるとありがたいと思います。
  • よくある視聴時のトラブル改善方法の教示
  • 1時間にしては座談会で発言する先生方の人数が多いかなと思った。もっと一人づつじっくり聞きたいと思った。

など

最後に

今回、初の試みでしたが良かった点や改善点なども発見する事が出来ました。

運営側でも改善していく点は多々ありますので、皆様のご指摘いただいた点を次回は改善し、さらに良い座談会を行えるようにしていきます。

多く頂いたアンケートにお答えできるように、話す内容も様々なジャンルで行っていきます。

近日中に第二回の開催をさせて頂きますので、また次回の開催をお楽しみにしてください。

増田勇樹
MSD LABO Co.,Ltd
代表取締役

【資格】
理学療法士
健康経営アドバイザー
ルーシーダットンインストラクター

ピックアップ記事

関連記事一覧